心 の 病 気 改 善 専 門 店


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ホーム ストレスを克服するには・・・?

ドイツの哲学者ショーペンハウエルの、「山嵐のジレンマ」という寓

(ぐう)話をご存じでしょうか。

寒い冬の日、山嵐が身を寄せ合って、互いに体を温め合おうとします。

ところが、近寄りすぎるとトゲが刺さってしまい、離れすぎると寒いの

です。山嵐は、がまんできる適度な距離を見つけるまで、寒さと痛みと

いう苦悩の間を、行ったり来たりすることになる……。

これは、どんな人とでも、近づきすぎれば息苦しいし、離れすぎればさ

びしいという、人間関係のストレス心理をうまく表現しています。

たとえば、家族や恋人、友人など、安心して相談できる人の存在は、ス

トレスをやわらげてくれます。しかし、そうした人とのコミュニケーシ

ョンにずれを感じると、逆に大きな精神的ストレスとなります。

■ 自分を客観的に見つめる「もう一人の自分」

人間関係に少しでもすき間を感じると、相手の悪い点ばかりが見えがち

です。しかし、一歩ひいて、相手のよい点にも目を向けてみましょう。

極端になりがちな自分を、客観視してみるのです。

山嵐のように、ほどほどに近づいたり、離れたり……人間関係とは、い

つも微妙に揺れながら、ほどよいバランスを探り合っていくものです。

それには、バランスのよい複眼的な考え方をすることが重要です。自分

を客観視するもう一人の自分を作り、物事をいろんな立場から考えるよ

うにするとよいでしょう。

バランス感覚のたいせつさは、なにも人間関係のストレスに限りませ

ん。

家事や仕事などの課題に対して、完ぺきを求めてはいないでしょうか。

できていないことばかりを数え上げていては、ストレスは増すばかりで

す。できたことにも、目を向けてみることです。

■ 戦争のストレスで、帰還兵の脳が萎縮? 

一般に、「ストレス」という言葉は、自分にとって不快な刺激を指し

て使われますが、医学的には、刺激それ自体はストレッサー、その刺激

に対する反応を「ストレス」と定義しています。

じつは、ストレスそのものは、体を守るために生体に備わった、防衛反

応なのです。しかし、こんな研究報告があります。

「ベトナム戦争帰還兵の脳に、ストレスによる萎縮(いしゅく)が見ら

れる」――1995年、アメリカのPTSD(※)研究の第一人者として知られ

るダグラス・ブレムナーは、報告しました。

萎縮を起こしていたのは、脳の海馬という部位です。

海馬は記憶を司り、海馬が損傷すると、新しいことが覚えられなくなっ

てしまいます。

海馬が萎縮したのは、ストレスの身体反応として重要な系である、内分

泌系反応で放出される、グルココルチコイドが原因と見られています。

このホルモンは、過剰になると、脳の神経細胞の形態に損傷を起こす神

経毒性があり、海馬の記憶とり込みの機能がある細胞に、萎縮や細胞死

などの障害を起こします。

※PTSD:外傷後ストレス障害。戦争や犯罪、性的虐待など、対処能力を

超えた圧倒的な体験をすることで、心の働きに不可逆的な変化を起こす

こと。主症状は、極度に外傷的な出来事の想起、覚醒亢進(かくせいこ

うしん)、外傷と関連した刺激の回避。

もともと海馬が小さい人がストレスに弱い? 

海馬の萎縮については、別の解釈もあります。これはハーバード大学の

研究グループが、「ひとりがベトナム戦争に行き、もうひとりは戦争に

行かなかった」という一卵性双生児について比較をした結果わかったも

の。

まず、片方が戦争でPTSDになった一卵性双生児について見てみると、戦

争に行った人だけでなく行っていない人も海馬が小さいことがわかりま

した。一方、戦争に行ってPTSDにならなかった一卵性双生児について調

べたところ、二人とも海馬が小さくないことがわかったのです。

このことから最近では、ストレスで海馬が小さくなったというブレムナ

ーの解釈に加えて、「もともと海馬が小さい人がストレスに弱くてPTSD

になりやすいのではないか」という考え方も出てきています。

■ ストレスは「強さ」や「かかる期間」が問題

兵士たちは海馬の萎縮に比例して、特に、言語を覚える能力に障害を

生じていることが、確認されました。また、帰還兵の多くが発症してい

るPTSDに特徴的な、健忘や記憶想起の回避といった症状も、ストレスに

よる海馬の機能障害が、関与していると考えられています。

これは、戦争という非常に強いストレスが、長期にわたって継続したた

めに起きた症例です。この例を見ると、ストレスそのものは、本来、生

体に必要なシステムなのだけれど、その「強さ」や、「かかる期間」

が、問題なのだといえます。

■ ストレスは体に備わった防衛反応

すでに述べたように、ストレスとは、生体が、自分を乱すおそれのある

刺激(ストレッサー)に対して起こす、防衛反応です。

たとえば、“嫌いな人と話す”というストレッサーがあると、神経やホ

ルモンの働きによって、血圧や心拍数が高まる、集中力や積極性が高ま

るなどの、「ストレス」が起こります。

嫌いな人との戦いなど、来るべき危機的状況に対処する、準備を整える

――つまり、防衛反応としてストレスは、「良」であるといえます。

■ 限度を超えれば、ストレスは「悪」に

しかし、これが長期にわたれば、血圧や心拍数の高まりは、心臓や血

管の負担に、精神の高ぶりは、不眠や食欲不振につながり、「悪」に転

じます。

本来、ストレスという緊急反応は、あくまで緊急であるべきなのです。

しかし、“嫌いな人”が上司であったり、隣人であったり、社会では、

ストレスが長く続いてしまうことが、ままあります。

また、社会規範により、怒る、泣くなどの感情の表出が制限され、抑圧

せざるをえないという側面も、あります。

一時はストレッサーに抵抗するために高まった生体の防衛反応も、その

能力を超えて、ストレッサーが強かったり持続したりすると、抵抗

力は急速に低下します。絶望や抑うつ、身体機能の異常をきたし、やが

てストレスは死へとつながります。

■ 不安を誘発するストレスホルモン

ストレスを克服する大きなカギとなるのは、物事を“いかに考える

か”、“どのようにとらえるか”、ということです。

しごく当然のように聞こえる発想ですが、これを神経生理学的に分析す

ると、大脳皮質の「認知」の働きに関係した事象と、とらえられます。

悲観、不眠、食欲不振など、ストレスによって、人の思考や行動には、

変調が起きます。このとき脳では、神経細胞の活動に、変化が起きてい

ます。

ストレスの身体反応により、脳の情動を司る扁桃(へんとう)体や、睡

眠・覚醒の制御を行う青斑核に、コルチコトロピン放出因子という、不

安を誘発するストレスホルモンが放出されます。

ホルモンを受けて、細胞は興奮し、不安な感情や、意識の覚醒などの反

応が起こります。

■ いかに「大脳皮質での情報の混乱」を収めるかがカギ

こうした活動を制御するのが、人間らしい理知的な思考活動を司る、大

脳皮質です。

たとえば、“悩む”という心の動きは、記憶を元に、大脳皮質が情報処

理をしている状態です。

情報の錯綜が続いて、大脳皮質が活動し続ければ、ストレスホルモン

も、継続的に放出されます。情報が整理されて活動が収まれば、ホルモ

ンの放出は停止し、不安や不眠などの症状は、解消されます。

いかにして大脳皮質での情報の混乱を収めるか、これこそストレスから

解放される、キーポイントです。

■ 毎日の家事も、単調なくり返し作業で終わらせない

生活の中に、自分なりの達成感を見いだすことも、ストレスを回避する

よい方法です。特に女性は、社会立場上“認められない”状態に置かれ

ることが多く、それがストレスにつながっているケースが、よくありま

す。

たとえば、多くの主婦が、“家事は不毛だ”といいます。せっかく食事

を作っても、食べたらそれきりなくなってしまい、また作らなくてはな

りません。きれいに洗濯しても、着ればよごれて、また洗わなくてはな

りません。毎日がそのくり返しです。

そのうえ家事は、やってあるのがあたりまえ。掃除をしていなかった

り、食事の用意ができていなかったりすると、家族から文句をいわれま

す。

達成感のない課題のくり返しは、つらいものです。

しかし、生活の雑事を積み重ねられることは、それだけですばらしいこ

となのです。

今日は家族のおふとんを干そう、新しいレシピに挑戦しよう。毎日一つ

でも、達成できた自分に、喜びを感じるようにしてください。

■ 肩ひじを張らず、自分なりの達成感で喜びを見いだす

働く女性も同様です。昔に比べれば、女性の社会的立場は向上したとは

いえ、まだまだ会社組織は男性中心の風土です。男性以上の働きをしな

くては、認められない風潮は、依然あります。

認められようと、自己を主張する方法もありますが、だれもができるこ

とではありません。人は、達成することで満足を得るタイプと、人と協

調することで安心するタイプがいます。

肩ひじを張らず、周囲と協調しながら、自分なりの達成感で喜びを見い

だす生き方が、あってもよいのではないでしょうか。

■ なにがストレスになるかは千差万別

冒頭の「山嵐のジレンマ」など、これまでにあげたいくつかの例を、私

はストレスだと思わない(ストレッサーではない)と感じられたかた

も、いらっしゃることでしょう。それはなぜでしょうか。

これこそ、ストレスの最大の特徴で、なにがストレッサーになるか、ど

の程度のストレスで心身にアンバランスを生じるかには、非常に個人差

があります。

運動が嫌いな人にとっては、運動はストレスですが、好きな人にとって

はストレス解消になります。また、適度なストレスは、心身を活性化さ

せてプラスに働きますが、適度の度合いは、千差万別です。

こうした個人差は、遺伝的な要因が大きく、同時に、生育環境にも起因

すると多くの学者は考えています。

■ 現実にバランスよく目を向け、対処を考える

ストレスから解放されたいと、多くの人は望みますが、そもそも生きて

いて、ストレスによる不安や緊張を感じないほうが、おかしいのです。

また、そうした緊急反応がないと、生体に不つごうであることは、前述

のとおりです。

ストレスを感じる自分を、“弱い”などと否定することはありません。

ただ、慢性的にストレスがあって、心身に不調をきたすことは避けるべ

きでしょう。

そうしたときに、周囲の人や状況をつごうよく操作することはできませ

んし、なにかを責めていても、解決はせず、ストレスは増すばかりで

す。

現実的な問題にバランスよく目を向け、どう対処し、どう生き方につな

げていくのかを考える、それこそがストレスから解放される、最善の方

法です。

また、そうして自己を解放できるのは、ほかでもない、あなた自身なの

です。
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